タコ釣りでは「エギの選び方」が注目されがちですが、
実はそれと同じくらい釣果に影響するのが“オモリの選び方”です。
特に船から狙うタコ釣りでは、水深・潮流・海底の状況によって、
オモリの形状や重さを適切に使い分けないと、アタリが出にくくなったり、根掛かりが増えたりといったトラブルにつながることもあります。
「オモリならどれでも同じだろう」と考えてしまいがちですが、
実際の釣行では、思った以上にオモリの“合う・合わない”で釣果に差が出るのがタコ釣りの難しさでもあり、おもしろさでもあります。
この記事では、
- どんな形のオモリを選べばよいか
- どのくらいの重さがちょうどいいのか
- カラーは釣果に関係あるのか
といったポイントを中心に、タコ釣りで失敗しないためのオモリ選びを解説していきます。
これからタコ釣りに挑戦する方や、釣果が安定しないと感じている方は、ぜひ参考にしてください。
タコ釣りにおけるオモリの役割とは?
船からのタコ釣りでは、オモリは単に仕掛けを沈めるための重り以上の役割を果たします。
まず重要なのは「底取り」です。
タコは基本的に海底付近に張りついているため、オモリがしっかりと底に着いていることが前提になります。
潮が速い状況や、深場を狙う場合には特にオモリの重さが釣果を左右する要素になります。
さらに、オモリはエギやスッテの動きにも影響します。
適度な重さがないと、仕掛け全体がふわふわと浮いてしまい、タコに見切られやすくなります。
逆に、重すぎるとアクションが鈍くなり、アピール力が落ちてしまうこともあります。
もうひとつ見落とされがちな役割が「感度」です。
オモリが安定していることで、ラインや竿を通じてタコの触腕がエギに触れる“モゾッ”とした違和感を手元に伝えることができます。
つまり、オモリは以下の3つの軸で釣果に関係してきます。
- 正確に底を取るための重りとしての役割
- 仕掛け全体の動きを安定させるためのバランサーとしての役割
- アタリを感知するための感度補助としての役割
このように、タコ釣りにおいてオモリは単なる“おもり”ではなく、釣りそのものの操作感や釣果に直結する重要な仕掛けです。
では実際に、どんな形状のオモリを選べば、根掛かりを減らしつつしっかりアタリを取れるのか?
次のパートでは、タコ釣りでよく使われる代表的な形状と、それぞれの特徴について解説していきます。
基本となるオモリの形状|それぞれの特徴と使い分け
タコ釣りに使われるオモリの形状は数種類ありますが、実際に現場で使用されるのはごく一部です。
なかでも「ひし形(ナス型)」と「ホゴ型」は使用頻度が高く、それぞれに明確なメリットがあります。
1.ひし形(ナス型)オモリ
タコ釣りで最も一般的に使われているのがこのタイプ。
上下がすぼまったナスのような形状で、安定性と潮なじみのバランスに優れています。
- 潮流に流されにくく、しっかりと底を取れる
- オモリが立ちやすく、仕掛けが倒れにくい
- 着底後も位置が安定しやすいため、アタリを明確に捉えやすい
とくに水深が深いポイントや、流れの速い状況ではナス型の安定感が強みになります。
迷った場合はまずこのタイプを基準に考えて問題ありません。
2.ホゴ型オモリ
根掛かりの多いポイントや、手返しを重視した釣り方に適したタイプ。
先端が細く尖っており、岩や障害物の間をすり抜けやすい構造が特徴です。
- 底からの離脱がスムーズで、根掛かりしにくい
- 砂地・岩礁混じりなど、地形変化の大きい場所に強い
- 着底からの立ち上がりが速く、テンポよく探りやすい
ナス型に比べるとやや感度は落ちますが、根掛かりによるロスを減らしたい場面では有力な選択肢となります。
また、手感度よりも手返しを優先したいときにも効果的です。
どちらを選べばいいか迷ったら
- 潮が速く、アタリをしっかり取りたい場面では「ひし形(ナス型)」
- 根掛かりが多いポイントや、テンポよく探りたい場面では「ホゴ型」
釣り場の地形や釣り方によって使い分けることで、オモリ本来の性能を引き出すことができます。
重さの目安と選び方|水深・潮流・タックルに応じた判断基準
タコ釣りで釣果を安定させるには、仕掛けがしっかり底を取れていることが前提になります。
そのために必要なのが、状況に合わせたオモリの重さ選びです。
オモリの重さを判断するうえで考慮すべきポイントは、主に次の3つです。
- 水深や潮流の強さ
- 使用しているロッドの適合号数(錘負荷)
- 釣り方や手返しのテンポ感
まず、水深30〜40mのエリアで潮が穏やかな日であれば、40〜50号のオモリが基準になります。
そこから、潮が速い日や深場を攻めるときは60号以上に切り替えると、着底が安定しやすくなります。
ただし、重すぎるオモリには注意が必要です。
操作感が鈍くなり、アタリが伝わりにくくなるだけでなく、竿のパワーを超えてしまうとトラブルの原因にもなります。
特にエントリーモデルややわらかい竿では、50号を超えるとアクションにキレが出にくくなる傾向があります。
軽すぎるオモリも問題
潮に流されて底を取れなかったり、仕掛けが浮いてしまってタコにしっかりエギを見せられないといった事態が起こりやすくなります。
感度の良さや操作性を優先したい気持ちは分かりますが、底が取れていなければアタリすら出ません。
現場では、まずは40号で試してみて、潮が速ければ50号、さらに速ければ60号にするといった段階的な調整が基本になります。
そのうえで、竿の適合オモリ号数を超えないようにバランスを取ることが、快適かつ確実な釣りにつながります。
オモリの色によって釣果が変わることがある?
タコは人間のように色を見分けることはできませんが、
光の反射や明暗の差、偏光といった視覚的変化には非常に敏感です。
そのため、オモリの色を変えることで反応に差が出るケースもあり、
状況に応じた色使いが釣果を左右することもあります。
ここでは、代表的なカラーの特徴と、それぞれが向いている場面を紹介します。
赤・オレンジ系|明るい環境でしっかり目立たせたいときに
日中の澄み潮や晴天時など、光量がある場面では赤やオレンジがしっかりと目立ち、
タコに仕掛けの存在をはっきり認識させやすくなります。
活性が高い日や、エギとカラーを揃えてアピール力を高めたい場面で効果的です。
“気づかせて抱かせる”というアプローチに向いたカラーです。
黒・マット系|スレ対策や澄み潮での違和感軽減に
黒やマットカラーは、底の色と自然になじみやすく、過度なアピールを避けたい場面で活躍します。
特に澄み潮や釣り人が多く入ったスレたポイントでは、
目立たせすぎず違和感を抑える方向で仕掛けを組むと、タコが安心して抱きつくケースがあります。
グロー(夜光)系|濁り・深場・ローライト時の強い味方
グロー系は光を蓄えて暗い水中で発光するため、濁り潮やマズメ、曇天など視界が悪い場面で効果を発揮します。
特に水深30m以上の深場では、タコに見つけてもらうための“発見力”が重要になり、
そういった場面でグローは有力な選択肢になります。
ただし澄み潮では不自然に映ることもあるため、状況に応じた使い分けが必要です。
ナチュラル(鉛地そのまま)|迷ったときの安定枠
派手さを抑えた無加工の鉛色は、どんな状況にもなじみやすく、
カラー選びに迷ったときや、全体の反応が読みづらい日に使いやすい万能タイプです。
極端なアピールが不要な場面や、他の色で結果が出なかったときの“ベースカラー”として重宝されます。
色選びは“正解”よりも“合う日”を探す感覚で
オモリの色が明確に釣果に影響する日もあれば、そうでない日もあります。
しかし、「今日はこの色にしか反応しなかった」といった事例も現場ではよくある話です。
だからこそ、数種類のカラーを用意して、状況に応じて柔軟に使い分けるという視点が大切です。
タコ釣りに使いやすいおすすめオモリ|形状・カラー・重さで選ぶ実用モデル
ここまで紹介してきた選び方のポイントをふまえ、
実際に自分で使用してきた中から、使いやすく釣果にもつながりやすかったオモリを紹介します。
いずれも船タコ釣りに適した仕様で、初めて使う場面でも扱いやすく、
状況に応じて使い分けしやすい実用モデルを中心にピックアップしています。
ダイワ 快適船シンカーSN|感度と視認性を両立したマルチ対応シンカー
着底の感触が曖昧でアタリを逃す。
そんな場面で“違い”を出せるのが、ダイワの快適船シンカーSNです。
センサーアイとホログラムシールを備えた設計で、
底の変化やタコの小さな触りも明確に手元へ伝達。
さらに、夜光やケイムラカラーでタコの目にも強くアピールできる構成になっています。
実釣での信頼性が高く、「感度と扱いやすさ」を重視する方にとって有力な選択肢です。
もともとカワハギやマダイなどでも定評のあるシリーズですが、
タコ釣りでも「底の感触が明確で、掛けのタイミングが取りやすい」として実戦投入するユーザーが増えています。
特に、着底の瞬間に反応するタイプのアタリが多いタコ釣りでは、
感度が高いオモリを使うことで掛けの成功率が上がるシーンも少なくありません。
また、派手すぎないホログラムと夜光の視認性は、
「エギやスッテを目立たせたいが、オモリは浮かせたくない」ときのバランス調整にも使えます。
視認性・感度・安定性が求められる場面に、頼れる1本です。
ハヤブサ 目玉集魚シンカー 舵型|潮流に強く、アピールで引き寄せる“攻めのオモリ”
流れが速い、仕掛けが落ち着かない、タコの反応がいまひとつ。
そんな状況で“仕掛けを制御しながらアピールできる”のが、ハヤブサの目玉集魚シンカー舵型です。
安定した姿勢を保つ独自の舵型形状に、ホログラムと目玉パターンによる視覚アピールを組み合わせた設計。
ただ沈めるだけのオモリでは出せない「誘う力」と「見せる力」を両立した、
潮流や濁りがある場面で頼れるアピール系オモリです。
目玉集魚シンカー舵型は、特に「流れが強いポイント」や「濁り潮」で本領を発揮します。
一般的なオモリよりも姿勢が安定しやすく、仕掛けがブレにくいため、
タコがエギに触れたときのアタリも明確に出やすくなります。
また、派手すぎないホログラムと目玉模様は、スレたタコにも警戒感を与えにくく、
アピールとナチュラルのバランスがとれた設計。
仕掛けに“もう一押しのアピール”を加えたいときに、有力な選択肢になります。
ルミカ タコ足シンカー|船タコ専用の“効かせるオモリ
しっかり底を取りながら、アピール力で差をつけたい。
そんな場面で使いたくなるのが、ルミカの「タコ足シンカー」です。
オモリそのものがタコベイトのように動き、タコに視覚と振動の両面からアプローチ。
単なる“重り”にとどまらず、仕掛け全体のアピール力を引き上げる存在として機能します。
タコの活性が高い日や、周囲より少しでも“見せたい”と感じたときにこそ真価を発揮するオモリです。
エギやスッテと色を合わせて「一体感」を出したり、反対にあえて目立たせて目線を引いたりと、
アレンジ次第で仕掛け全体の印象を大きく変えることができます。
視覚アピールを取り入れた“効かせる仕掛け”を組みたい方にとって、有力な選択肢です。
NISSIN タコエギシンカー|掛けやすさを引き出す“浮かせる設計”
アタリは出るのに掛けきれない。
そんなときに試してほしいのが、宇崎日新の「タコエギシンカー」です。
細身形状と高めのエギ位置設計により、エギを底から浮かせた状態でアピールしやすく、
タコが抱いた瞬間の“もぞっ”とした違和感を、しっかり穂先に伝えてくれる仕組みになっています。
初心者にも扱いやすく、掛け損ねを減らしたい場面で効果を発揮する、
掛けやすさ重視の実戦型オモリとして支持されているモデルです。
このオモリの強みは、エギの“可動域”を広げる設計にあります。
底にベッタリ張りつくのではなく、エギを自然に浮かせることで、
タコが仕掛けにアプローチしやすくなり、アタリが出る→掛けるの流れがスムーズになります。
根掛かりの多いエリアでも攻めやすく、
「掛けやすさ」と「アピール力」を両立したオモリを探している方にとって、
信頼して使える選択肢です。
タカ産業 タコパラシンカー TK-023|光で“寄せて掛ける”アピール系オモリ
底は取りたい、でも周囲と差を付ける強いアピールもほしい。
そんな場面で頼りになるのがタカ産業のタコパラシンカーです。
ホログラムシートとグロー塗装で強烈に存在感を放ち、タコに“見つけてもらう”ところから掛けまでを後押ししてくれます。
タコパラシンカーは“集魚力をプラスするオモリ”という立ち位置です。
根掛かりを抑える細身形状でストレスなく探り続けられ、ホログラムの反射で仕掛けを際立たせるため、乗り渋りの日でもアタリを引き出しやすいのが強み。
特に「周りよりアタリが少ない」「濁り潮で仕掛けが埋もれがち」という状況で効果が表れやすく、
カラー替えをローテーションに組み込めば、プレッシャーが掛かったポイントでも反応の変化を掴みやすくなります。
アピール系のオモリをまだ持っていないなら、まず一本目に加えておきたい実戦アイテムです。
釣り場でありがちな失敗とその対処法
オモリはただの重りではなく、釣果に関わるパーツです。
しかし、現場では想定外の状況に直面することも多く、正しく選んだつもりでも“うまくいかない”ケースは少なくありません。
ここでは、船タコ釣りで実際によくあるトラブルと、その場でできる対応策を紹介します。
潮が速くて底が取れない
水深が深くなったり、潮の動きが急に速まると、オモリが軽すぎて仕掛けが浮いてしまうことがあります。
こうなるとエギがタコの視界から外れ、まったくアタリが出ないという状況になってしまいますので注意が必要です。
たとえば、スナップ付きサルカンなどを使ってナス型20号程度を追加するだけでも、沈下が安定し、底をしっかりキープできるようになります。予備がないときでも、工夫次第で十分対応可能です。
根掛かりが頻発する
海底に岩や障害物が多いポイントでは、オモリが挟まって抜けなくなるトラブルが起こりやすくなります。
とくに、ナス型は引っ掛かりやすいため、連続ロストで気持ちが折れてしまうことも。
鉛タイプはコストを抑えられるため、ロストが続いても精神的なダメージが少なく、モチベーションの維持にもつながります。
カラーが合っていない気がする
同船者には釣れているのに、自分にはアタリがない。そんなときに意外と見落としがちなのがオモリのカラーです。
タコは色覚こそ人間と異なりますが、明暗や光の反射には非常に敏感です。
少しでも違和感を覚えたら、色の切り替えは早めに試すのがポイントです。
オモリは消耗品に近い道具ですが、選び方や使い方を工夫することで、釣果と快適さの両方が変わってきます。
現場での対応力も含めて、しっかり備えておきたいところです。
釣れるオモリは「状況に合った選び方」で決まる!!
タコ釣りにおいて、オモリは単なる重りではなく、釣果・操作性・トラブルの少なさを左右する重要な道具です。
形状・重さ・カラーの選び方ひとつで、アタリの出方や根掛かりの頻度が大きく変わります。
それだけに、釣り場の状況を見ながら柔軟に使い分けることが欠かせません。
- 形状は「ひし形(ナス型)」を基本に、根掛かりが多い場所では「ホゴ型」へ
- 重さは潮や水深に合わせて調整し、底取りを最優先に考える
- カラーは反応が悪いときこそ差が出るため、複数用意しておくのが理想
そして、現場で起こるトラブルにも慌てず対応できるよう、予備や代替手段(追加オモリ・鉛タイプ)も視野に入れて準備しておくと安心です。
仕掛けの工夫がそのまま釣果に直結するのがタコ釣りの面白さ。
ぜひ、オモリ選びも“なんとなく”ではなく、状況に合わせてしっかり選んでみてください。