「タイラバって、投げても釣れるの?」
そんな疑問を持ったことがある人は少なくありません。
船の真下に仕掛けを落として巻き上げる、いわゆるバーチカルな釣り方が定番ですが、実はキャストして斜めに引くスタイルが活躍する場面もあります。魚が縦の動きに反応しにくい状況や、プレッシャーの少ない水域を狙いたいときには、投げて広く探る釣り方が効果的になることがあります。
とはいえ、すべての状況で成立するわけではありません。釣れる条件ややり方、適したタックルが揃ってこそ、はじめて成立する釣り方です。
この記事では、キャスティングタイラバが有効な場面や具体的なやり方、釣行を通じて得られたコツについてわかりやすく紹介していきます。「本当にキャストして釣れるのか?」と疑問を持っている方は、ぜひ参考にしてください。
キャスティングタイラバが活きる状況とその利点
キャストして斜め方向に探れるという特徴を持つキャスティングタイラバは、特定の状況下で特に強さを発揮します。
ベイトタックルでは届かないポイントにアプローチできるため、攻められる範囲と釣果の可能性が大きく広がります。
なかでも、次の3つの場面で活用することで、明らかに差が出ると感じています。
①潮が流れていない(潮止まり)
船が流れない状況では、真下にタイラバを落としても同じ場所を行き来するだけになります。
こういったときは、キャストして横方向に引くことで仕掛けに変化をつけることができ、沈黙を破る1匹につながることがあります。
②釣り座が制限されている(乗合船など)
船の進行方向や潮の流れによって、釣りやすい場所・釣りにくい場所がはっきり分かれる場面があります。
自分のラインを意図的に外すことで、スレていないラインを通すことができ、周囲が沈黙している中でも反応が得られることがあります。
③夏や秋など、魚の散りやすい時期
魚がボトムに固まらず、広範囲に散っている状況では、縦方向に落として巻く釣りではアプローチが絞れず、ヒットに至りにくくなります。
キャスティングタイラバなら広く探ることができ、斜めのリトリーブ軌道が魚の視野に入りやすく、バイト率が上がるケースも少なくありません。
このように、ただ「投げられる」というだけでなく、「どこで・なぜキャストするのか」を意識することで、釣果につながる可能性が大きく広がります。
キャスティングタイラバの注意点と対処法
キャストすることで攻められる範囲が広がるキャスティングタイラバですが、万能というわけではありません。
実際には、いくつかの「やりづらさ」や注意点も存在し、それを理解しておくことで無駄なトラブルを防げます。
ここでは、よくある3つの注意点と、それぞれの対処法を紹介します。
①乗合船ではキャスト方向に制限がある
船上でのキャスティングは、周囲との距離や風の方向によって思い通りに投げられないことがあります。
特にオーバーヘッドキャストは危険を伴うため、乗合船では基本的にNGな場合が多いです。
②キャスト距離が増すほど底取りが難しくなる
遠投すればその分だけ着底のタイミングが取りづらくなります。
特に波や風がある日はラインが風に流され、感度が鈍くなって「根掛かりしやすい」「アタリが分からない」という状況も出てきます。
③リールやロッドに過剰な負担がかかることもある
40〜60gのタイラバを繰り返しキャストするため、ライトなシーバスロッドや小型リールでは破損やトラブルのリスクがあります。
キャスティングタイラバは、工夫次第で大きな武器になりますが、慣れるまでは「投げるだけで釣れる」わけではない釣り方です。
注意点を把握しておけば、スムーズに実釣に活かすことができます。
キャスティングタイラバの基本操作は「着底→等速巻き」
キャスティングタイラバで意識すべきなのは、「どう巻くか」という操作の丁寧さです。
ただ投げて巻くだけ!それでも釣れる力はありますが、反応を引き出すには一定のリズムと判断が必要になります。
基本の動きはシンプルで、着底後に一定速度で巻き続けるのが基本。
この巻き上げを15〜20回ほど行っても反応がなければ、いったん再度着底させて巻き直すという流れを2〜3セット繰り返します。
それでもアタリがなければ、一度仕掛けを回収して次のキャストへ。
この一連の操作を丁寧に繰り返すことで、広範囲の魚を探ることができます。
一定速度をキープすることが釣果のポイント
タイラバでは、安定した速度でルアーを引くことで、鯛に違和感を与えずバイトに持ち込むことができます。
とくにキャスティングタイラバでは、リールの巻き取り速度が安定していることがバイト率に直結するため、ハンドル1回転あたり1秒を目安に巻くとよいでしょう。
リールのギア比によって巻き取り量は変わるので、自分の使用しているリールで「どのくらいの回転数がちょうどいいか」を確認しておくのもポイントです。
フォールの使い分けも意識してみる
キャスト後のフォール(沈下)には「フリーフォール」と「カーブフォール」の2種類があります。
フリーフォール:ベールを返して一気に沈める方法。手返しがよくテンポよく探りたいときに有効です。
カーブフォール:ベールを戻して、テンションをかけながらゆっくり沈める方法。フォール中にアタリが出る状況や、魚にじっくり見せたいときに向いています。
どちらを使うかはその日の状況や潮の流れによって異なりますが、最初は着底をしっかり把握できるカーブフォールから試すとやりやすいです。
応用として「ストップ&ゴー」も覚えておきたい
一定速度で巻くのが基本とはいえ、反応が薄いときには変化を加えるのも一つの手です。
軽く巻きを止めて再開する「ストップ&ゴー」や、ほんのわずかに巻き速度を落とすようなアレンジを加えると、思わぬタイミングでアタリが出ることもあります。
ただし、変化を加えすぎると見切られる原因にもなるため、まずは「等速巻き」をしっかりと身につけ、そのうえで状況に応じて変化を取り入れていくのがおすすめです。
キャスト前にチェックしておきたいタックルの選び方
キャスティングタイラバを始めるうえで、最初につまずきやすいのがタックルの選び方。
普段のバーチカル用と同じでは扱いづらく感じることもあるため、投げる釣りに合った調整が必要です。
ここでは、実際に使って感じた「投げやすくて、釣りやすい」ロッドとリール選びのポイントを紹介します。
飛距離と操作性、どちらも妥協しないロッド選び
キャストが前提になるため、ロッドにはしっかりとした反発力と振り抜きやすさが求められます。
目安としては6.5〜7.3ftほどの長さが扱いやすく、狭い船上でもストレスなくキャストできます。
また、キャスト時のパワーロスを防ぎたいなら、チューブラー構造のブランクスがベスト。
ソリッドティップは感度重視の構造ですが、投げる釣りでは反発力が物足りなくなることがあります。
使用するタイラバの重さに関しては30〜60gがメイン。ロッド側の「適合ルアーウェイト」も事前にチェックしておくと安心です。
スピニングリールは巻きやすさと糸巻き量で選ぶ
キャスティングタイラバでは、斜め方向への誘いが多くなります。
そのため、リールには「ラインの出しやすさ」と「等速での巻きやすさ」が求められます。
番手としては、シマノなら3000〜4000番、ダイワなら2500〜3000番あたりが最適。
PE0.8号を150〜200mほど巻けるリールなら、ライン放出量にも余裕があり、キャストを繰り返してもトラブルが少なくなります。
ギア比はノーマルまたはパワーギア寄りが推奨。巻きスピードが安定しやすく、長時間巻き続けても疲れにくい構造になっています。
あとは、ドラグ性能がしっかりしているモデルを選ぶことで、不意の大型にも安心して対応できるようになります。
キャスティングタイラバでは、スピニングタックルの選定も釣果に直結します。
リール選びで迷っている方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
キャスティングに最適な“専用タイラバ”とは?
キャスティングタイラバでは、通常のラウンド型ヘッドでは飛距離やフォール姿勢に難が出ることがあります。
投げて使うなら「専用設計のタイラバヘッド」が断然おすすめです。
その理由は主に3つあります。
1.飛行姿勢が安定している
キャスティングタイラバ専用のヘッドは、矢じり型や流線型など、空気抵抗を抑えたデザインが採用されています。
これにより、風がある日でも飛距離が安定し、狙いたいレンジまでしっかり届きます。
とくに風上に向かってキャストする必要がある場面や、潮が止まって船が流れない状況では、
「あと数メートル飛ばしたい」というケースが頻発するので、専用ヘッドの有無は釣果に直結することもあります。
2.フォール姿勢がまっすぐで、アピールが自然
空中だけでなく、水中での動きにも違いが出ます。
専用ヘッドは斜めの姿勢をキープしながら沈むため、ネクタイが絡みにくく、自然なシルエットで魚にアピールできます。
これはフォール中のバイトを拾う確率にも影響します。
通常のタイラバよりも“見せながら沈める”という演出がしやすく、活性の低いマダイにも口を使わせやすくなります。
3.着底が分かりやすく、根掛かりもしにくい
シルエットがコンパクトでフォールスピードが一定しているため、着底感がつかみやすく、
根の荒いポイントでも無駄に転がることなく、コントロールが効きやすいのも特長です。
「巻き始めのタイミングを逃さない」ことが釣果を左右する釣りだからこそ、
この手の細かな違いが実際の操作性に差を生みます。
おすすめのタイラバヘッド!キャスティングで使いやすいモデルを厳選紹介
キャスティングタイラバでは、狙うレンジや操作のしやすさに合わせて、ヘッド選びも重要なポイントになります。
ここでは、飛距離・沈下スピード・感度といった要素を踏まえたうえで、キャスト釣法に適したおすすめタイラバヘッドを紹介します。
いずれも、状況に合わせたアプローチがしやすく、実釣での信頼性も高いモデルばかりです。
TGビンビン玉スライドヘッド NEO
「TGビンビン玉スライドヘッド NEO」は、高比重タングステン素材を採用したジャッカルの人気タイラバヘッド。
鉛よりも小さく、潮の流れに強く、着底や巻き上げが安定しやすいのが魅力です。
シンプルな球状デザインは水中で余計なブレを抑え、静かに真鯛を誘うのに適しています。
また、タングステン特有の感度の高さにより、着底の瞬間やボトムの変化も明確に伝わりやすく、釣りの精度を高めてくれる仕様です。
ヘッド単体での販売なので、ネクタイやフックの組み合わせは自由自在。
その日の状況に合わせたカスタマイズも楽しめます。
ラインへのダメージを防ぐPTFEパイプが標準装備されているのも地味に嬉しいポイント。
潮流の速いポイントやディープエリアでも、しっかりと“釣れる動き”を作れるタイラバヘッドです。
ジグラバースルー タイラバタイプ
メジャークラフトが展開する「ジグラバースルー タイラバタイプ」は、遠投性能と安定したフォール姿勢を両立させたキャスティング対応の鯛ラバです。
本体にはスルー構造を採用しており、ラインを内部に通すことでキャスト時の空気抵抗を軽減し、飛距離と姿勢の安定性を高めています。斜め方向へのアプローチが前提となるキャスティングタイラバでは、この点が大きなアドバンテージとなります。
とくに注目したいのが、やや前寄りの重心設計。これにより、ただ巻き時には水平に近い姿勢をキープしやすく、テンションを抜いたフォールではナチュラルな揺れを演出します。潮が緩くなった時間帯や、プレッシャーがかかった状況でもしっかり魚を引き寄せる力があり、実釣でも反応の差が出たと感じた場面が何度かありました。
また、フックはあらかじめ装着済みなので、タックルボックスから出してすぐに使えるのも嬉しいポイント。初心者が最初に試すキャスティングタイラバとしても扱いやすく、価格帯も抑えられており、コストパフォーマンスに優れています。
「まずは試してみたい」「気軽にキャストで鯛を狙ってみたい」という人にとって、安心して選べる一本です。
ダイワ サムライ ショアラバフリー
キャスティングタイラバに対応したヘッドを探しているなら、「ダイワ サムライ ショアラバフリー」は選択肢のひとつです。
もともと岸釣り用として開発されていますが、実はその高い遠投性能と浮き上がりやすい構造が、船からのキャスティングタイラバにも非常に相性がいいんです。
コンパクトなボディながらテール重心設計でしっかり飛距離が出せ、ブレードとヘッドのラダーが生む抵抗で、リトリーブ中も安定して浮き上がります。
さらに、フラッシング効果のあるヘッドとブレードが、水中で広範囲にアピール。真鯛だけでなく、根魚や青物にも対応できる万能型です。
ヘッドは遊動式で、バイト後のフックの可動性もしっかり確保。
専用設計に縛られない自由なカスタマイズも可能で、紅牙パーツなどの組み合わせも楽しめます。
「タイラバを投げて広く探る釣り」において、攻めの幅を広げてくれる一手になるルアーです。
炎月 バクバク TG
キャスティングタイラバにも相性抜群の「炎月 バクバク TG」は、高比重タングステン素材を使ったコンパクトかつ高感度なヘッドです。
飛距離が稼げて沈下も速く、潮の効いたエリアでもしっかり狙いのレンジに送り込めます。
フォール中にアピールしつつ、着底後も巻き抵抗が安定しているので、初めてのキャスティングタイラバでも扱いやすいのが魅力。
ネクタイの動きに微妙な変化を加えるスパイラルホール構造も備えており、スレた状況でも口を使わせる力があります。
ネクタイやフックの交換も手軽で、状況に応じたセッティング変更もスムーズ。
「まずは1個持っておきたい」キャスティング対応ヘッドとして、迷ったときに選びやすい1本です。
アブガルシア カチカチ玉
「アブガルシア カチカチ玉」は、ただ巻くだけでしっかり誘える“音で釣る”タイラバ。
最大の特徴は、ヘッドに内蔵された大小の玉が水流でぶつかり合い、「カチカチ」と微細なサウンドを発生させる構造です。
この音が、真鯛をはじめとする多くの魚に強烈にアピール。
特にスレた状況やフォールで見切られがちな場面でも、ひと味違うアプローチで口を使わせる力があります。
形状はころんと丸く、潮噛みもよく、キャスティングでも安定して沈下。
底を感じやすく、巻きのリズムも取りやすいため、キャストゲームでも扱いやすいのが魅力です。
しかも、真鯛だけでなくロックフィッシュや青物など、多魚種対応の万能型。
ひとつ持っておくと、「いつもと違う一手」として活躍してくれます。
「見た目以上に効く」この存在感、ぜひ実釣で体感してみてください。
キャスティングタイラバは“投げられる状況”でこそ活きる
キャスティングタイラバは、ただ真下に落とすだけでは反応が出ない状況でこそ効果を発揮します。
特に潮止まりや夏場の広範囲に散ったマダイを狙う場面では、キャストして斜め方向に探るスタイルが強い武器になります。
その理由は、魚が「縦の動きに反応しづらい」場面で、キャスティングタイラバの斜め軌道が自然に魚の視野へ入るからです。
また、プレッシャーのかかりやすい船の真下を避け、フレッシュな魚へアプローチできるのも大きな利点です。
例えば、潮が全く動かない日に船中で一人だけキャストを繰り返していたら、明らかにその人だけにバイトが集中した──というのは、実際の釣行で何度も目にしたことがあります。
もちろん、乗合船でのキャストには注意も必要で、周囲との距離やキャスト方法には工夫が必要です。
それでも、使いどころさえ間違わなければ、キャスティングタイラバは「もう一段階、釣果を伸ばせる」手段として非常に心強い選択肢になります。
まずは気軽に、浅場や潮止まりのタイミングでキャストを試してみてください。
その1投が、これまで拾えなかった1枚に繋がるかもしれません。