遠くに仕掛けを飛ばして、広範囲を効率よく探ることがキス釣りの釣果を大きく左右します。 特にサーフや広い堤防では、岸際に魚が寄りにくく、100mを超える遠投が求められる場面も少なくありません。
このとき重要になるのが、竿だけでなくリールの選び方です。 「どんなスピニングリールでも遠投できる」と思われがちですが、実際にはリールの構造やスペックによって飛距離や快適さに大きな差が出ます。
本記事では、キス釣りを快適にするための遠投リールの選び方と、目的別におすすめできるモデルを3タイプに分類して紹介します。 遠投性能に優れた1台を選ぶことで、これまで届かなかったポイントまで仕掛けが届くようになり、釣果の向上にもつながります。
キス釣り用遠投リールの選び方【初心者にもわかる基準】
キス釣りで安定した釣果を出すには、ロッドだけでなくリールの選び方も重要です。
とくに遠くまで仕掛けを飛ばす投げ釣りでは、リールの構造や番手によって飛距離や使い勝手が大きく変わってきます。
ここでは、初心者の方でも失敗しにくい「キス釣り向け遠投リール」の選び方を、実際の釣り場で役立つ視点から整理してご紹介します。
飛距離に影響する構造をチェック
キャスト時にラインがスムーズに放出されるほど、仕掛けは遠くまで飛びます。
飛距離を伸ばしたい場合は、次のような構造を備えたリールが有利です。
- ロングスプール(口径広め+浅溝設計)
→ ライン放出時の抵抗を軽減し、飛距離が安定 - スローオシュレート機構
→ ラインが均一に巻かれ、放出時のトラブルが起きにくい - 大径ラインローラー/ベアリング入り構造
→ PEラインのヨレや絡みを抑え、巻き取りもスムーズ
これらの構造が備わったモデルを選ぶことで、より遠く、より正確に仕掛けを届けやすくなります。
ドラグレス構造がキス釣りと相性◎
キス釣りでは、遠投後に竿先でアタリを取り、すぐにフッキングして回収するのが基本スタイルです。
そのため、ドラグ機能を活用する場面がほとんどなく、むしろトラブルの原因になることもあります。
そこでおすすめなのが、ドラグレス(ドラグ固定式)構造の投げ釣り専用モデル。
余計な機構がないぶん軽量で、誤作動によるライン放出も防げるため、実釣時の安心感が違います。
とくに細いPEラインを使う場合は、ドラグによるライン抜けがバラシや切れにつながるリスクもあるため、
最初からドラグなし設計のモデルを選んでおくと快適です。
番手と糸巻き量はここを目安に
遠投用リールは、スプール径と糸巻き量も重要なチェックポイントです。
リールのサイズは「番手」で示されますが、専用モデルと汎用モデルで表記が異なります。
- 遠投専用リール:30〜45番(ストローク長で分類)
→ PE1.5号が200m程度巻ける設計 - 汎用スピニングリール:4000〜5000番台
→ 飛距離・巻き上げ力ともに十分で、PE1.5号×200m前後が目安
スプールが小さすぎるとラインが早く減り、下巻きなどの調整が必要になるため、
最初から糸巻き量に余裕のあるサイズを選ぶと、キャストも回収もスムーズにこなせます。
キス釣りにおすすめの遠投リール
「遠くに投げられるリールが欲しいけど、どれがいいのかわからない…」
そんな方のために、用途や釣行スタイルに合わせて選びやすい3タイプのモデルをご紹介します。
本格的に遠投性能を追求したい方には【ハイエンドモデル】
100m以上の遠投や、広いサーフでの本格的な数釣りを狙いたい方には、投げ専用設計のハイエンドモデルがおすすめです。
スプール径やライン放出性能の高さに加え、巻き取りの力強さや耐久性も段違い。
一日中投げ続けるようなハードな釣行でも、ストレスなく扱えます。
価格は高めですが、「飛ばす・掛ける・回収する」すべての動作を高精度でこなせる完成度は、確実な釣果アップに繋がります。
シマノ キススペシャル 45|飛距離と精度を極めた競技系ハイエンドモデル
遠投精度、巻き上げの軽さ、操作時の一体感。
そのすべてを競技レベルで突き詰めたモデルが「キススペシャル45」です。
フルマシンカットのギア構造や、軽量化されたボディ設計など、構成の一つひとつが“飛ばす・取る・探る”という動作に直結しており、
シロギス釣りにおける最高峰のリールとして仕上げられています。
飛距離だけを狙った仕様ではなく、操作中の無駄なブレや回転ロスを徹底して排除することで、
1投1投の感度や手返しを高次元で安定させてくれる設計です。
キススペシャル45は、単なる“高性能リール”ではありません。
遠投の精度と飛距離、仕掛けの安定性、そして繊細なアタリの感知。
それらすべてを競技レベルで成立させるための構造が詰め込まれています。
価格帯は10万円超と高額ながら、投げ釣りにおける最高水準の快適さと信頼性を求めるユーザーにとって、
一切の妥協なく選べるリールです。
ラインの抜け、巻きの軽さ、操作のレスポンス。
それらが釣果に直結する状況下で真価を発揮する、シロギス専用の最上級モデルです。
シマノ パワーエアロ TD|実戦対応力を極めたフラッグシップ遠投モデル
高剛性・高耐久のボディに、繊細なドラグ制御と優れた巻き感を搭載。
「パワーエアロ TD」は、過酷な釣行にも耐える構造と、投げ釣りに求められる機能を高水準で兼ね備えた実用型ハイエンドリールです。
HAGANEボディによる剛性感と、シマノ独自のQD(クイックドラグ)機構を融合。
トルクフルな巻き取りと、緻密なドラグコントロールを両立しており、狙う魚や釣り場の状況に応じて瞬時に対応できる設計です。
特に安定した遠投性能と高負荷時の信頼性は際立っており、ステップアップを考えるユーザーにとって、十分なリールスペックを提供してくれます。
「パワーエアロ TD」は、ミドルクラスでは物足りないが、トーナメントクラスまでは必要ない──
そうした実釣派ユーザーにとって、まさに現場で信頼できる1台です。
大型のターゲットにも対応できるトルク性能を備えながら、繊細な仕掛け操作も可能。
特に重めのオモリを使った遠投や、波の強い状況下でも安定した性能を発揮します。
投げ釣りの中で「リールの質」が釣果や快適さに直結する場面は多く、そうした条件下で本領を発揮するモデルです。
耐久性・遠投性能・制御性の三要素を高いレベルで両立しており、実釣重視のハイエンドリールとして安心して選べます。
ダイワ パワーサーフQD|実釣性能を極めた実用系ハイエンドリール
リールに求められるのは、遠投性能だけではありません。
狙った場所にしっかり届くスプール構造、安定した巻き心地、手返しの良さ、そして一日中扱っても疲れにくいバランスの良さ。
「パワーサーフQD」は、それらすべてを高い水準で備えた、実戦向けのハイエンドモデルです。
価格を抑えながらも、搭載されているのは上位機に迫る技術群。
軽さと剛性のバランスも良く、釣行全体のテンポを崩さない取り回しの良さも大きな魅力です。
安価なモデルからの買い替え時、「最初にしっかりしたリールを持っておきたい」という場面で、安心して選べる完成度となっています。
価格帯はミドルクラスに分類されるものの、搭載されている機能や実釣時の操作性は上位モデルに迫る完成度を備えています。
過剰な装備や競技専用のクセがなく、扱いやすさと実用性のバランスを重視した設計が特徴です。
QD(クイックドラグ)機構は、ドラグ操作が不要とされる釣りでも、ラインの固定や移動時のテンション調整に活用でき、仕掛け交換などの操作を効率化します。
また、ドラグレス構造の軽快さと、QDによる制御性が両立しており、さまざまな投げ釣りに柔軟に対応可能です。
耐久性と快適さを兼ね備え、長く使える1台を探している釣り人にとって、“これで十分”と感じられる実用型ハイエンドリールとしておすすめできます。
バランス重視で選びたい方には【ミドルモデル】
「遠投もしたいけど、そこまでハイスペックじゃなくていい」
そんな方には、性能と価格のバランスが取れた中級モデルがおすすめです。
PEライン対応のスプールや、トラブルを抑える設計など基本機能がしっかり備わっており、軽量で扱いやすさにも優れています。
最初の1台としてはもちろん、サブ機としても安心して使える汎用性の高さが魅力です。
シマノ スーパーエアロ スピンジョイ 標準モデル|軽快な投げ心地と高い基本性能を両立した中堅リール
スムーズな飛距離と安定した巻き感、そして実釣での扱いやすさ。
それらを価格を抑えたまま実現しているのが「スーパーエアロ スピンジョイ 標準モデル」です。
中級クラスとして十分な性能を持ちつつ、無駄を省いた設計により、コストパフォーマンスに優れています。
機能を絞ることで軽量化も進んでおり、キャストの振り抜けやすさや疲れにくさにも貢献しています。
遠投釣りに求められる基本性能をひと通りカバーしながら、耐久性やメンテナンス性にも配慮された作りです。
価格帯こそエントリーモデルに近いものの、内部構造や使用感は中堅クラスの基準をしっかり満たしています。
キャスト時の振り抜けやすさや、巻き取り中の静かさには違いがあり、安価な投げリールとの性能差も体感しやすい仕様です。
本体はドラグレス設計により軽量に仕上がっており、長時間の釣行でも疲れにくい構造になっています。
扱いやすさと実用性のバランスに優れており、限られた予算で性能にも納得できる1台を探している方にとって、有力な選択肢となるでしょう。
ダイワ ウインドサーフ35|遠投性能と軽快さを両立した、実力派の中堅モデル
キス釣りで「もう少し飛ばしたい」と感じたら、選択肢に入れておきたいのがこの1台。
ダイワの『ウインドサーフ35』は、実釣での使いやすさと耐久性を兼ね備えた、まさに遠投釣りの“主力級”モデル。
防水・耐久機能はもちろん、キャスト時の気持ちよさやトラブルレスな巻き取り感まで、細かな使い勝手が丁寧に仕上げられています。
見た目は控えめでも、中身はかなりの完成度です。
同クラスの投げ専用リールと比べると、巻き感の軽さや剛性感で一歩リードしており、波打ち際での連掛けにも十分対応できます。
遠投で勝負したいベテラン勢にも、ステップアップを狙う中級者にもフィットしやすい「ちょうどいいスペック」なのが魅力。
1万円台前半〜中盤で手に入る価格帯ながら、上位機にも引けを取らない仕様が詰まっています。
細糸モデルなら、PEライン0.8号〜1号前後を組み合わせて、夏のサーフで本気のキス釣りを楽しめます。
初めての1台として安心して使いたい方には【エントリーモデル】
「まずはキス釣りで遠投を体験してみたい」
そんなビギナーには、価格を抑えつつ基本性能を備えたエントリーモデルが最適です。
軽量で操作性がよく、PEラインも問題なく使える設計になっているため、初めての釣行でも安心して挑戦できます。
「試してみたい」という気持ちを後押ししてくれる、コストパフォーマンスの良い1台です。
シマノ アクティブキャスト 標準|遠投デビューに最適な1台
遠投キス釣りに挑戦したいなら、まずチェックしておきたいのがこの「アクティブキャスト 標準モデル」。
ロングスプール設計と十分な糸巻き量で、仕掛けをしっかり沖まで運ぶ力を備えながらも、手に取りやすい価格で人気のエントリーモデルです。
スプール構造や巻き感にもシマノらしさが感じられ、初めての投げ釣りリールとして“ちょうどいい性能”が詰まっています。
ドラグを使わないキス釣りとの相性がよく、キャスト時のトラブルも抑えやすい構造です。
「まずは遠投リールを試してみたい」という方にとって、
アクティブキャストは手頃な価格で遠投の基本が学べる、最初の1台にぴったりのリールです。
ダイワ ファインサーフ35|投げ釣りデビューに最適な遠投リール
投げ釣りを始めるなら、最初の1台は軽くて扱いやすく、なおかつ飛距離も稼げるモデルを選びたいところ。
ダイワの「ファインサーフ35」は、そんな理想に応えてくれるエントリーモデルとして、非常に完成度の高い1台です。
PEラインに対応した35mmストロークスプールを搭載し、安定した遠投と快適な巻き心地を両立。
価格も1万円以下に抑えられており、「最初からきちんとした道具で始めたい」という方にぴったりのリールです。
「ファインサーフ35」は、ただ安いだけの入門機ではありません。
ダイワの基本技術がきちんと投入されており、ドラグを使わない投げ釣りではむしろこの構造が強みになります。
また、エントリーながらもPEラインの扱いやすさに配慮されている点は、これから投げ釣りを始める方にとって非常に安心感のある仕様です。
遠投リールを変えるだけで、キス釣りがもっと快適になる
キス釣りでは、飛距離が釣果に直結することも珍しくありません。
とくに沖を狙う場面では、ロッドだけでなく、リールの性能が届く距離や回収の快適さに大きく関わってきます。
今回ご紹介したとおり、リールを選ぶ際には以下のポイントを意識することが大切です。
- ロングスプールやスローオシュレートなど、飛距離を伸ばす構造
- PEラインを安定して使える設計
- 遠投リールなら30〜45番、汎用リールなら4000〜5000番が目安
- 糸巻き量はPE1.5号で200m前後あると安心
- キス釣りではドラグレス構造のリールがトラブルレスで扱いやすい
どれを選べばいいか迷う方も、この記事で紹介した「目的別の3モデル」から選べば、まず失敗することはありません。
遠投が決まると、届かなかったポイントに仕掛けが届き、アタリの数が変わってきます。
次のキス釣りでは、飛ばすための1台を味方につけて、釣果の伸びしろをしっかり掴んでみてください。