タイラバは「落として巻くだけ」と言われるほどシンプルな釣りです。
けれど、実際に船に乗ってみると「なぜかあの人だけ釣れる」と感じたことはありませんか?
それは、ほんの少しの“気づき”や“工夫”が、釣果に大きな差を生むからです。
なぜその差が生まれるのか?
それは、ただ“巻くだけ”では釣果に結びつかない理由が、タイラバにはあるからです。
わたしは関西の船でタイラバ釣行を重ねるなかで、さまざまな釣り人と出会い、話をしながらその違いを肌で感じてきました。
とくに「うまい人」は、仕掛けよりも考え方や動き方に工夫があることに気づかされることが多くありました。
この記事では、その実体験をもとに、タイラバで釣果を伸ばすための“考え方”と“行動”をまとめて紹介していきます。
釣果に悩んでいる方にとって、次の一匹を手にするヒントになればうれしいです。
「何が違う?タイラバで釣れない人に多い4つの行動」
タイラバは“巻くだけ”のシンプルな釣りですが、実は「やっているつもり」で終わってしまっている行動がいくつもあります。
ここでは、わたし自身の経験や周囲の釣り人を見てきた中で、「こういう人はなかなか釣果が伸びない」と感じた行動をいくつか紹介します。
1.アタリがあると、つい巻く手が止まってしまう
リールを巻いている途中にコツンとアタリがあったとき、反射的に巻く手を止めてしまったり、思わずアワセを入れてしまったことはありませんか?
タイラバは“掛けにいかず、巻きで食わせる釣り”です。魚が違和感なく食い込めるように、アタリがあってもリズムを崩さず巻き続けるのが基本になります。
2.一度セットしたネクタイやカラーを変えないまま数時間
「前回これで釣れたし」「釣具屋でオススメされたやつだし」と、最初に付けたカラーのまま延々と巻いていませんか?
海の状況は日によっても時間によっても変わります。釣れない時間が続くなら、一度ローテーションして“変化”をつけてみることが大切です。
3.着底からの巻き上げが遅い(タッチ&ゴーができていない)
タイラバは、フォール中から魚が興味を持って追いかけてくることがあります。
だからこそ、底に着いたらすぐに巻き始める“タッチ&ゴー”が重要なのですが、ここが遅れると魚に見切られてしまうことも。
着底した瞬間にリールを巻き始める癖をつけるだけでも、ヒット率はグッと上がります。
4.潮の流れや水深の変化に無頓着
潮が動いていない時間帯、風が強くなってきたとき、水深が急に深くなった場所などこうした変化に気づかないまま、ずっと同じ巻きスピード・同じヘッドで通してしまうと、魚に見向きもされない時間が続くことがあります。
魚がいるのに“気づいてもらえない”のは、タイラバではよくあること。
そのためにも、巻いているときの抵抗やラインの角度の変化に、少し意識を向けてみましょう。
釣れている人はここが違う!タイラバが上手い人の行動
同じ船に乗って、同じような仕掛けを使っているのに、なぜかあの人だけが釣っている。
そんな経験はありませんか?
釣果の差は、使っている道具以上に「どんな意識で釣っているか」「その時どう動いているか」で決まってきます。
ここでは、タイラバ釣行の中で実際に見てきた“釣れている人の行動”を、6つの視点で紹介します。
1.何も起きない時間に変化をつけている
釣れない時間に、ただ同じことを繰り返していませんか?
うまい人ほど「何かが違う」と感じたとき、すぐにカラーやネクタイ、ヘッドの重さを変えてきます。
その変化がたった1本につながることも珍しくありません。
2.着底からの巻き出しが反射でできている
タイラバでは“着底と同時に巻き上げを開始する”という動作が基本です。
この一連の流れを自然に、迷いなくできている人ほどヒットが出やすくなります。
釣れている人を見ていると、タッチ&ゴーの精度が違うのがよくわかります。
3.潮の流れを“感じながら”巻いている
ただリールを回しているだけでは、潮の変化を見逃してしまいます。
うまい人は「今、潮が効いてきたな」「さっきより軽くなった」といった違和感を手元で感じ取っています。
それによって、レンジを変えたり巻きスピードを調整したりうまく工夫をしています。
この感覚がある人は、魚のいる“層”を逃しません。
4.周囲のヒットに敏感で、それを釣りに活かしている
隣で誰かが釣れたら、すかさずその人の巻き方やカラーを見ていますか?
釣れている人ほど、まわりの変化に敏感で、その情報を“自分の釣り”に取り入れるのが上手です。
「見て盗む力」が釣果につながる好例です。
5.船長との会話からヒントを拾っている
「最近はどのカラーがよく出てる?」「何mあたりが多い?」
そんな何気ない会話の中に、釣果を左右するヒントが隠れていることがあります。
うまい人は、それを聞いて終わりにせず、すぐにセッティングに反映しています。
6.釣れなくても集中力を切らさない
もっとも大事なのは「釣れない時間でも諦めないこと」。
とくに朝イチや潮変わりなど、魚が口を使うタイミングにしっかり集中できている人は、結果を出しています。
「今日は1本も釣っていない。だからこそ1本を絶対に獲る」という気持ちで、釣りを続けている人にはチャンスが巡ってきます。
この6つの行動は、どれも特別な技術が必要なわけではありません。
- 少しだけ視点を変えてみる。
- 意識を一つ加えてみる。
それだけで、次の釣行の結果がガラッと変わるかもしれません。
”テクニックを磨く”うまい人が実践しているタイラバ操作とは
タイラバは「落として巻くだけ」とよく言われますが、実際にはその“巻き方”や“考え方”の違いで釣果に大きな差が出ます。
上手い人は、ただ機械的に巻いているのではなく、常に状況を観察し、微調整を繰り返しています。
ここでは、そんな“うまい人”たちが意識しているテクニックを、実践レベルで解説していきます。
細かな操作が自然にできるようになると、たった一匹の釣果にグッと近づく場面が増えていくはずです。
等速巻きの精度とスピード調整
タイラバにおいて最も基本となるのが「等速巻き」。
これは、リールを一定の速度で巻き続けることで、タイラバに自然な動きを与えるテクニックです。
ただし、言葉にするとシンプルですが、実際にやってみると「本当に等速で巻く」というのは意外に難しいです。
潮の重さや竿の曲がり、風の影響で手元の感覚は変化します。
うまい人ほど、そうした“感覚のズレ”を手で補正しながら、魚に違和感を与えない一定の動きを作り出しています。
また、リールの巻き速度は「一定」でも、海の状況によっては最適なスピードが変わってきます。
たとえば・・・
- 活性が高い日:やや速めの巻きでリアクションバイトを誘う
- 潮が緩い日:ゆっくりとした巻きでじっくり見せる
- 渋い日:わずかに速度変化を入れたり、ストップ&ゴーを織り交ぜる
こうした微調整を意識できるようになると、アタリの数が確実に変わってきます。
まずは「手元に集中しながら、リールを同じテンポで巻く」ことから始めてみてください。
慣れてきたら、状況に応じた巻きスピードの変化も取り入れていくと、ヒット率は一段と上がるはずです。
着底からの巻き出し“タッチ&ゴー”を意識する
タイラバで安定した釣果を出すために欠かせないのが「タッチ&ゴー」。
これはタイラバを海底に落とし、着底した“その瞬間”に巻き始めるという動作のことです。
なぜこれが大事かというと、真鯛はルアーが着底して止まったタイミングではなく、落ちてきて動き始めた瞬間に反応することが多いから。
つまり、着底してから間を置かずに巻き始めることで、魚に「自然な動き」を見せることができるのです。
しかし、気を抜いているとどうしても手が止まってしまいがち。
その一瞬の“間”が、バイトのチャンスを逃す原因になることもあります。
対策としては:
- ラインのテンションを感じておく(着底の瞬間を見逃さない)
- リールを巻く動作を“体で覚える”(無意識に巻けるようにする)
- カウンター付きリールを活用する(着底の水深を目視で確認)
タッチ&ゴーは、一度癖がつけば自然と体が反応するようになります。
最初は意識していても、慣れてくると“手が勝手に動く”ようになるはずです。
ヒットレンジを見極める
タイラバで釣果を安定させるためには、「どの層(レンジ)で当たったか」を意識することがとても重要です。
真鯛はベタ底にいることもあれば、底から5〜10mほど上に浮いていることもあります。
特に潮が動き出したタイミングや、時間帯によってレンジが変わることも多く、毎回同じところを巻いていても釣れない理由はここにあるのです。
では、どうすればヒットレンジを把握できるのか?
基本は、「アタリがあった水深を覚えておく」こと。
最近のカウンター付きリールであれば、巻き上げ中に水深を確認できるので、バイトが出たレンジ=“狙い目の層”として意識していくと効率的です。
また、周囲でヒットが出ているタイミングに合わせて、「着底後○巻きから始めてみる」など、再現性を持たせることでヒットが続くこともあります。
何も考えずに“とりあえず底から巻く”を繰り返すより、魚がいたレンジに意識を集中することで、効率よく釣果に結びつけることができます。
「実際、上手い人ほど“巻きの質”を意識していて、そのために選んでいるリールにも特徴があります。
→詳しくはこちらの記事で、釣れる人が使っているリールとその理由を解説しています。」
フォールスピードとヘッドの使い分け
タイラバにおいて、ルアーを「どう巻くか」だけでなく「どう落とすか」も釣果を左右する大事なポイントです。
実は、フォール(落下)中に真鯛がバイトしてくることも珍しくありません。
そのため、ヘッドの形状や素材を変えて、フォールのスピードや姿勢を調整することで、アピールの仕方を変えることができるのです。
たとえば:
球形ヘッド(オーソドックス) | ・安定したフォールと等速巻きに適していて、幅広い状況に対応 |
フィン付きヘッド | ・ 早くストンと落ちるため、潮が速い日や深場狙いに有効 |
ブレード付きヘッド | ・フォール中にキラキラとした視覚的アピールが強く、反射での食わせに効果的 |
さらに、素材の違い(鉛とタングステン)も大切です。
タングステンは比重が重いため、同じ重さでも小さく、潮の抵抗を受けにくい=早く落とせるメリットがあります。
こんな場面で使い分け
ヘッド素材の使い分け
- 潮が早い・水深がある → タングステンやフィン付きで手返し重視
- 活性が低く見せたい → やや遅めに落ちる鉛・球形タイプでアピール長めに
- 落下中のバイトを狙う → ブレード付きや明確な動きを出すヘッド
“巻くだけじゃなく、落とす動きも見せる”という意識があるだけで、拾える魚の数は確実に増えていきます。
また、「タングステン製タイラバのメリットや使い分け方をもっと詳しく知りたい」という方には、以下の記事もおすすめです。
実釣経験をもとに、場面ごとの適性やおすすめモデルについても詳しく紹介しています。
ネクタイ・スカート・カラーのローテーション
釣れない時間が続くと、「今のままでええか…」とネクタイやスカートの交換を後回しにしてしまうことってありますよね。
実際、わたしも船の上で風が強い日や、指先がかじかむような寒さのなかでは、細かい作業が億劫になっていたことがあります。
ただ、そういうタイミングこそ、釣果に差がつく分かれ道。
うまい人ほど、釣れない時間帯こそネクタイやスカートの変更をこまめに行っているんです。
タイラバでは、ネクタイのカラーや形、ボリューム感など、少しの変化が魚の反応に大きく影響します。
“同じルアーをずっと使い続けている”よりも、“小さな変化を試し続ける”ほうが、その日の当たりパターンにたどり着きやすいんです。
【カラーの使い分け例】
オレンジ・赤系 | 全国どこでも実績があり、定番中の定番 |
緑系 | 藻場や澄み潮で有効なケースが多い |
黒・チャート系 | 濁り潮や曇天の朝夕に強い |
グロー・ラメ入り | 深場やローライトで視認性が高まる |
【形状のバリエーション】
ストレート | 自然な動きで汎用性が高い |
カーリー | 波動が強く、魚へのアピールが大きい |
太めタイプ | 濁りが強い日や深場で存在感を出したいときに |
ネクタイ交換は確かに少し手間がかかります。
でも、その“ひと手間”を惜しまないことが、渋い状況での1匹につながることは間違いありません。
一度それで釣れた経験ができれば、「また変えてみようかな」と思えるようになりますよ。まずは釣れない時間帯こそ、「一回だけ変えてみようかな」と軽い気持ちでローテーションしてみてください。
その“ひと手間”が結果に繋がると、釣りの面白さが一段と増していきます。
ただ巻くだけでは終わらない、タイラバの面白さ
タイラバは一見シンプルな釣りですが、実際に釣果を分けるのは「細かい違いに気づけるかどうか」です。
その違いに気づき、ひとつずつ自分の引き出しとして積み重ねていくことで、釣れる場面が確実に増えていきます。
- 巻き上げのスピード
- 落とし方やヘッドの選び方
- ネクタイやカラーの変化
- 潮の流れや魚のいるレンジの意識
どれも難しいことではありませんが、気にしなければ気づけないことばかり。
だからこそ、「釣れなかったときに、何を見直せばいいのか?」という視点を持つことが、次の一匹につながるんだと思います。
わたし自身、最初は“ただ巻くだけ”でなんとなく釣れるのがタイラバだと思っていました。
けれど釣行を重ね、周りのうまい人の釣りを見て、話を聞くうちに、「釣れている人には、ちゃんと理由がある」ことに気づかされました。
今回紹介した内容は、そんな釣行の中で得た実体験をもとにした“気づき”です。
すべてを一度に試す必要はありません。
まずは、「今日はこの巻きスピードを意識してみよう」「ちょっとネクタイ替えてみようかな」といった一歩から始めてみてください。
釣果が変わると、タイラバの面白さも一気に広がります!!次の釣行での“変化”につながるヒントになればうれしいです。