春イカエギングでは「3.5号のエギが基本」とよく言われます。
この理由は、春に狙うアオリイカが、産卵前の“親イカ”だから。
すでにサイズも大きく、エサを効率よく捕食するために、自然と大きめのエギに反応しやすくなっているんです。
とはいえ、同じ3.5号でもモデルによって重さや沈下速度はバラバラ。
「3.5号だから大丈夫だろう」と思って選んだエギが、沈まない、沈みすぎる、アピールが早すぎて見せきれない
といった失敗につながるケースは珍しくありません。
そんな時に“基準”として選ばれているのが、沈下速度が約3秒/1mのノーマルタイプ。
水深5〜10mの港湾部や堤防で扱いやすく、初めてのポイントでも対応しやすい万能型です。
この記事では、
- ノーマルタイプがなぜ「最初の1本」に適しているのか
- どんな状況で使いやすいのか
- おすすめモデルの特徴と選び方のポイント
といった内容を、実釣経験とあわせて丁寧に解説していきます。
「とりあえず最初は何を買えばいい?」という方は、ぜひこの記事をエギ選びの参考にしてください。
ノーマルタイプ(沈下約3秒/1m)が“基準”とされる理由
春イカエギングでは、「まずノーマルタイプから始めよう」と言われることがよくあります。
それには、ちゃんとした理由があります。
ノーマルタイプは、沈下速度が約3秒で1mという設計が基本。
これは“速すぎず・遅すぎず”のちょうどいいスピードで、
イカに見せる時間とレンジ到達のバランスが取りやすいのが特長です。
特に春の釣り場は、水深5〜10mの港湾部や堤防が中心になることが多いため、
この速度帯が最も“使いやすいレンジ”をしっかりカバーしてくれます。
さらにノーマルタイプは、ロッド操作やラインテンションにも過敏すぎず、
初めてのエギングでもコントロールしやすいという点も大きなメリットです。
- 沈み方が極端じゃないので、釣り場を問わず使える
- ラインが流されすぎず、感度も取りやすい
- 操作が安定するので“釣れる動き”を再現しやすい
このように、ノーマルタイプは「とりあえず迷ったらこれ」というレベルではなく、
春の王道パターンをカバーできる1本として、しっかり実力があるというわけです。
こんな時に使いたい|ノーマルタイプがハマる釣り場と状況
ノーマルタイプはどこでも万能、と言っても「いつでも必ず効く」わけではありません。
その強みを最大限に活かすには、“条件がハマる場面”で使うことが大切です。
以下のような状況では、ノーマルタイプの使いやすさと釣果へのつながりが実感しやすくなります。
1.水深5〜10mの堤防・港湾部
春イカエギングの主な舞台となるのが、水深5〜10mほどの堤防や港湾部。
このレンジでは、エギの沈みすぎ・浮きすぎを避けつつ、安定してボトムを取れる沈下速度が重要になります。
ノーマルタイプの「約3秒で1m沈む設計」は、
この中間的な水深で“沈下が速すぎず遅すぎない”絶妙なフォールバランス。
- 着底までのカウントがとりやすい
- 中層で抱かせるイカも狙いやすい
- 潮流による流され方の変化も把握しやすい
こうした特徴から、単なる“沈み方”だけではなく、
その日のポイントの状況をつかむ“センサー”としても活躍してくれます。
とくに春は、「今日はどのレンジにいるのか」「反応があるのは底なのか中層なのか」といった情報収集が釣果に直結するので、
その意味でもノーマルタイプは「最初の1本」にふさわしい存在です。
2.潮や風が穏やかな日
春の海は日によって大きくコンディションが変わりますが、
風が弱く、潮の流れも穏やかなタイミングはチャンスです。
こうした状況では、エギが不自然に流されることが少ないため、
“エギの沈み方そのもの”が釣果に与える影響が大きくなります。
ノーマルタイプは、シャロータイプほど軽くて流されすぎることもなく、
かといってディープタイプのようにストンと落ちてしまうわけでもない。
ちょうど中間のフォールスピードが、自然な誘いを実現してくれます。
- イカにじっくり見せたいけど、沈まなすぎるのは困る
- フォール中に抱かせたいけど、違和感を与えたくない
そんな「程よさ」が求められる状況で、ノーマルタイプはバランスの良い選択肢。
とくに朝まずめや夕まずめなど、イカの活性が上がる時間帯では、
この自然な沈下が“見せる間”となり、バイトを引き出しやすくなります。
3.初場所・初回釣行時の探りに
「ここって、どれくらいの水深があるんだろう?」
「潮の流れ、けっこう速いのかな?」
そんな初場所や、久しぶりに入る釣り場では、
まず“現場の感覚”をつかむところから始まります。
このときノーマルタイプのエギを使えば、
沈下速度のおかげでボトムまでの時間がある程度読めるため、
水深のイメージや潮の速さを確認するのにぴったりです。
さらに、他のタイプと比べるときの“基準”としても使いやすいのが特長。
たとえば、ノーマルで沈みが遅く感じたらディープタイプへ。
逆に早すぎると感じたらシャローへと、調整しやすくなります。
釣り場のクセを早く把握し、
その日の正解を探るための“第一手”として、
ノーマルタイプは安心して使える1本です。
4.昼間のサイト狙い
日中のクリアな海で、イカの姿を“目で見ながら”狙うサイトフィッシング。
この釣りでは、エギの沈み方や動きの自然さが、そのまま釣果に直結します。
ノーマルタイプは、フォール中の姿勢が安定していて、
沈むスピードも速すぎず遅すぎないため、視界に長く留まらせやすいのが特長。
イカに「違和感」を与えにくく、
自然な誘いができるので、プレッシャーのかかった個体にも効果的です。
さらに、昼間はイカの反応を見ながら微調整がしやすいため、
シャクり後のフォールや、ラインの張り具合などにも気を配りやすい。
“見せて抱かせる”釣りをしたいとき、
ノーマルタイプは安心して使える、視覚的アプローチの強い味方です。
このように、ノーマルタイプは「春エギングのベース」として、
多くのシチュエーションに対応する汎用性の高さがあります。
ノーマルタイプのおすすめエギ|最初の1本に迷ったらこの中から選ぼう
「どれを買えばいいのか分からない」
そんなときに選びやすいのが、沈下速度が約3秒/1mの“ノーマルタイプ”。
春の堤防・港湾部では特に使いやすく、風が穏やかな日や水深5〜10mのレンジで、もっとも安定したパフォーマンスを発揮してくれます。
ここでは、実際に使ってきて釣果が出たモデルや、
長年定番として評価されているノーマルタイプのエギを紹介します。
「春エギングの最初の1本が欲しい」
「できればハズさない選択をしたい」
そんな方に向けて、選びやすさと実用性のバランスがとれたラインナップを揃えました。
それぞれの特徴やおすすめの使い方もあわせて解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
ヤマシタ エギ王K
イカ狙いでは、日によって活性がばらつきやすく、
プレッシャーの高いフィールドでは簡単に口を使ってくれないことも珍しくありません。
そんな難しい状況でも、安定したフォールと自然な動きでアピールできるのが「エギ王K」。
ノーマルタイプの3.5号モデルで、沈下スピードは約3秒/m。
シャローやゴロタ場といった浅場でも扱いやすく、視認性とアクションのバランスも優れています。
迷ったときの一本として、まず選びたいエギといえるでしょう。
シャローやゴロタ場など、春イカの好む浅場でも使いやすい沈下スピードで、
流れが弱くアピールしづらい時間帯でも、しっかり誘えるのが「エギ王K」の持ち味。
とくにシャクリに慣れていない人でも操作しやすく、
安定したフォールと程よいアクションでイカを惹きつけてくれます。
まず1本選ぶなら、迷わずエギ王Kのノーマルモデル。
春の釣行に、自信を持って投入できる安心のエギです。春の一本目にふさわしい、安心して投入できるエギです。
ダイワ エメラルダス ピーク
春のシャローゲームでは、潮の流れが緩くアピールしにくい場面や、
飛距離を稼いで広く探る展開が求められることもあります。
そんな状況にハマるのが、ダイワの「エメラルダス ピーク」。
ノーマルタイプの3.5号で沈下速度は約3.75秒/mと、ややスロー気味の設定。
シャローエリアや藻場の手前でゆっくり見せたいときにも扱いやすく、
飛距離と操作性を両立させた万能型のダート系エギです。
沈下速度がゆるやかなため、春イカが潜む浅場やゴロタエリアでも使いやすく、
シャクリのキレとレンジキープ力が両立しているのがこのモデルの強み。
とくに風がある日や遠投が必要な状況でも、しっかりと自分の“釣りのリズム”を保ちながら誘える感覚が心地よく、
アクションへの追従性も高いため、春のデイゲームでも出番が多くなる一本です。
シマノ セフィア クリンチ フラッシュブースト
春はイカの動きが鈍くなりがちな季節。
シャクリの瞬間よりも、エギを“止めている間”に食わせる場面が増えてきます。
そんな状況にこそ強いのが、シマノの「セフィア クリンチ フラッシュブースト」。
ボディ内のスプリング反射板がわずかな振動でも光を反射し、静止中でもイカの視覚を刺激し続けてくれます。
アピールは控えめながらも確実。
不用意に動かさずとも誘えるこの特性は、スレた個体が多い春のシャローで非常に頼もしい存在です。
プレッシャーが高まる春のシャローでは、ただ動かすだけのアピールでは見切られることも多い。
その点、「セフィア クリンチ フラッシュブースト」は、止めた時こそ真価を発揮するタイプ。
光の揺らめきだけでイカに存在を伝えられるので、
追っては来るけれど抱かないような低活性個体にもアプローチが可能です。
静かに“見せて”、食わせる。
春の難しいタイミングをものにしたい人に、ぜひ選んでほしい1本です。
デュエル EQ(Egiオリジナル)
春の釣り場は、藻が多くなり始めたり、浅場に差してくる個体が増えるタイミングでもあります。
そんなポイントで使いやすく、狙ったレンジをしっかり攻められるのがデュエルの「EQ(Egiオリジナル)」。
ベーシックな形状ながら、シャクリのレスポンスが良く、
初心者でも扱いやすいバランス設計が魅力のモデルです。
動かしても余計なクセが出にくく、
止めたときにはしっかり水平フォールをキープしてくれるため、
春特有のスローな展開にも対応しやすい一本です。
春は水温が安定せず、イカの活性が日によって大きく変わるシーズン。
そんな不安定な場面でも、「EQ」は引きすぎず、沈みすぎない絶妙なバランスで誘いが成立します。
シャクリが強すぎると嫌われ、フォールが不自然だと見切られる。
その中間を自然にこなせるこのモデルは、スレたイカにも違和感を与えにくく、
レンジキープ力と誘いのキレのバランスがちょうどいい。
派手すぎず、地味すぎない。
春の1杯を確実に取りにいくなら、道具選びにおいても“丁度いい”は大きな武器になります。
デュエル EZ-Q キャスト 喰わせ
春イカの釣りでは、動きに敏感な個体や、スレた状況に出くわすことが少なくありません。
そんな難しいタイミングでも、しっかりと“抱かせる”ための設計が詰まっているのが、
デュエルの「EZ-Q キャスト 喰わせ」です。
このエギは、止めているときにもアピールを継続できる微波動設計。
わざわざ動かさなくても、視覚と振動の両面でイカに存在を印象づけることができます。
特に浅場でのサイトエギングや、軽いテンションフォールを活かした“見せる釣り”で真価を発揮します。
春イカは、「寄ってくるけど抱かない」という状況が多い。
その理由のひとつが、過剰なアクションや不自然な動きによる違和感。
「EZ-Q キャスト 喰わせ」は、止めている時間にも微波動でイカに存在を伝えられるため、
“何もしていない時間”が逆にチャンスに変わるエギです。
シャローでのサイトでも、フォール中の誘いでも、
静かに、でもしっかり“見せて喰わせる”そんな一本を探している人にぴったりです。
春イカ攻略の起点になる「ノーマルタイプ」
春のエギングでは、「どのタイプを選ぶか」が釣果に直結します。
その中でもノーマルタイプは、沈下速度・重さ・扱いやすさのバランスが良く、最初の1本としてもっとも失敗が少ないモデルです。
特に水深5〜10mの堤防や港湾部では、ちょうどよい沈み方でしっかりアピールでき、
風や潮が穏やかな日や、初場所の探りにも自然にフィットしてくれます。
まずはこの「3秒で1m沈む」ノーマルを基準に持っておくことで、
現場で「もう少しゆっくり見せたい」や「もっと沈めたい」といった判断がしやすくなり、
次に揃えるべき“シャロー”や“ディープ”の方向性も見えやすくなります。
どのエギを買えばいいかわからないと感じているなら、まずはノーマルから。
ここを起点にすることで、春イカとの距離がグッと縮まってくるはずです。
次に、「タイプ別でおすすめのエギを詳しく見たい方」や、
「他の沈下タイプとの使い分け方を知りたい方」は、こちらの記事も参考にしてみてください。
- シャロータイプ(沈下6秒/1m)
春の浅場を攻略したいなら、さらにゆっくり沈むシャロータイプもおすすめです。
浅場やスレたイカに強いエギの特徴や選び方は[こちらの記事]で詳しく紹介しています。
- ディープタイプ(沈下2.5秒/1m)
水深のあるエリアや潮流が速い場面では、ディープタイプが頼りになります。
深場攻略に強いエギの特徴や使い方は[こちらの記事]をご覧ください。
- ティップラン(沈下1.5〜2秒/1m)
船からディープエリアを狙うなら、ティップランという選択肢も。
専用エギと釣り方のポイントについては[こちらの記事]でまとめています。