春のエギングで、大型のアオリイカを狙うならまず選ばれるのが「3.5号」のエギ。
サイズ的にもアピール力があり、飛距離・沈下速度ともにバランスがよく、春の深場攻略には欠かせないスタンダードな号数です。
ただし、同じ3.5号でも重さが全く違うことは意外と知られていません。
たとえばノーマルタイプで約20g、ディープタイプでは23g前後、ティップラン専用となると30gを超えるモデルもあります。
つまり、「3.5号だからこれでいいだろう」と何気なく選んでしまうと、沈まない・沈みすぎるといったトラブルが起きやすく、せっかくの釣行が台無しになることも。
この記事では、
- 3.5号エギの重さの違い
- タイプ別の特徴と使い分け
- 春イカ狙いに向いているモデル
- ティップランと通常エギングの明確な違い
について分かりやすく整理していきます。
「釣具屋で“3.5号”って書いてるから買ったのに、全然沈まない……」
そんな失敗をしないためにも、「重さ」で選ぶ視点をぜひ持っておきましょう。
同じ3.5号エギでも重さが違うって知ってた?
「3.5号=重い=なんでも使える」と思っていませんか?
実は、3.5号というのはエギの全長(サイズ)を表す単位であり、重さそのものを示すものではありません。
つまり、同じ3.5号でも、モデルによって“沈下スピード”も“実際の重さ”もまったく違うんです。
【タイプ別の重さと沈下スピード(例:エギ王LIVE)】
タイプ | 重さ | 沈下スピード |
---|---|---|
シャロー | 約18g | 約6秒/1m(スロー) |
ノーマル(標準) | 約20g | 約3秒/1m(標準) |
ディープ | 約22.5g | 約2.5秒/1m(速め) |
ティップラン用 | 約30g〜 | 約1.5〜2秒/1m(超速) |
この違いを知らずに、「3.5号だからどれでもいいだろう」と選んでしまうと、
シャロータイプを風が強い日に使って、ラインが流され沈まない。
ティップラン用を陸っぱりで使って、沈下が速すぎて釣りにならないといった失敗が起こりがちです。
特にシャロータイプのエギは、軽くて沈むのが遅いため、風や流れがあるとラインが引っ張られて沈下が遅れ、狙ったレンジに届かなくなることがあります。
一方、ティップラン用のエギは30gを超える重さがあるため、普通の陸っぱりエギングで使うと、あっという間に底に着いてしまい、見せる間もなくイカに見切られてしまう可能性があります。
だからこそ、エギを選ぶときは「号数」だけでなく、そのモデルの“重さ”と“沈下スピード”をセットでチェックすることが大切です。
とくに春の深場で大型を狙うような場面では、ただ重ければいいのではなく、“適切に見せられる重さ”が求められるため、誤った選択が釣果を大きく左右します。
重さが変わる理由とは?タイプ別に分類して解説
3.5号と一口に言っても、その重さはエギの「沈下スピード」や「使用目的」によって設計が変わってきます。
ここでは代表的な4タイプ(シャロー・ノーマル・ディープ・ティップラン)に分けて、選び方の基準になる情報を整理していきます。
シャロータイプ(17〜18g前後)
シャロータイプは、フォールスピードを極力抑えて“長く見せる”ことを重視した設計です。
イカにゆっくりアピールしたいときや、サイトでじっくり見せたい場面に適しています。
特徴
- 重さ:約17〜18g
- 沈下速度:約6秒で1m(かなりスロー)
- 適した場面:浅場、藻場、秋のサイト、警戒心が強い個体に
- 操作感:軽快でシャクりやすいが、風や潮に流されやすい
風が強い日や潮の流れが速い状況では、沈下が遅すぎて狙ったレンジに届かず釣りにならないこともあります。
特に初心者が最初に手を出すと「全然沈まんやん…」となるケースも
ノーマルタイプ(19〜21g前後)
ノーマルは最も汎用性の高いタイプで、どの季節・どんなシーンでも基準になる一本です。
迷ったらまずこれを選んでおけば、失敗は少ないでしょう。
複数のタイプを持ち歩く際の“基準点”としてノーマルを持っておくと、現場での比較や調整がしやすくなります。
春イカ狙いでまず持っておきたいのが、標準的なノーマルタイプ。
飛距離、沈下スピード、操作感のバランスに優れており、幅広い状況に対応できます。
基準となるノーマルタイプの選び方とおすすめモデルはこちらで詳しく紹介しています。
→ 春イカ攻略はノーマルタイプから!沈下3秒の特徴・使い方・おすすめをまとめて解説
ディープタイプ(23〜26g前後)
ディープタイプは、重さを加えることで沈下スピードを速めたモデルです。
風や潮が強い日、深場の底取りが必要な場面に使われます。
春の大型アオリイカを狙う時期は底付近に張り付いていることが多いため、ディープタイプでしっかり沈めてアピールするのが効果的です。
春の大型アオリイカを狙うなら、しっかり沈められるディープタイプも欠かせません。
速い沈下スピードで深場攻略に強く、風や潮の影響を受けにくいのが特徴です。
春イカに効くディープタイプエギの選び方とおすすめモデルはこちらでまとめています。
→ 春の深場はディープタイプで攻める!沈下2.5秒エギの特徴と使い方・おすすめモデルを紹介
ティップラン用(30g以上)
ティップラン専用エギは、船からのバーチカルな釣りに特化した重さ設計です。
エギングと名前は同じでも、使い方も重さもまったく別モノと考えた方がいいでしょう。
ティップラン用の3.5号を陸っぱりで使うと、沈下が速すぎて見切られやすく、操作も大きく制限されるため注意が必要です。
船からのエギングで大型を狙うなら、ティップラン専用エギが必要になります。
重さと沈下スピードが通常モデルとは大きく異なり、縦の釣りに特化した設計です。
ティップラン釣法に適した専用エギの選び方とおすすめモデルはこちらで紹介しています。
→ 春イカを船から狙うならティップラン!速攻沈下エギの特徴と使い方・おすすめモデルを紹介
このように、“3.5号”というサイズ表記だけでは見えてこない重さの違いが、釣果や使いやすさに大きく関わってきます。
次は、こういった重さの違いを知らずに選んでしまった人がどんな失敗をしてしまうのか?を具体的に紹介します。
沈下速度の選び方|数字を知るだけで釣果が変わる
エギの「沈下速度」は、釣り場の条件とマッチしているかどうかで、釣果に大きな差が出ます。
沈下速度とは、エギが水中1mを沈むのにかかる時間を表し、主に「2.5秒/1m」「3秒/1m」「6秒/1m」などの数値で表記されています。
この数値を理解して選べるようになれば、狙ったレンジに正確にエギを送り、イカにしっかり“見せて”抱かせることができます。
速い沈下(約2.0〜2.5秒/1m)
速く沈むエギは、水深がある場所や流れの速い状況でも、正確にレンジを狙えることが最大の強みです。
イカに長く見せるよりも、効率よく攻めていきたいときに向いています。
適した条件
- 潮が速い/風が強い
- 水深が深い(10m以上)
- 春の大型狙いで底をしっかり取りたいとき
- ティップラン釣法で使用する場合(船釣り)
着底感をはっきり得られるためボトムの攻略性は高いですが、沈みすぎてアピールが短くなることも。
特に陸っぱりで使う際は、「沈下速度が速すぎて釣りにならない」こともあるため注意が必要です。
標準の沈下(約3秒/1m)
標準的な沈下スピードは、沈みすぎず、浮きすぎず、見せ時間と操作性のバランスが取れた設定です。
最初の1本として選ぶにも最適で、最も汎用性があります。
適した条件
- 港湾・堤防など水深が中程度のフィールド
- 潮や風が穏やかな日
- オールラウンドに使いたいとき
- 初心者が操作に慣れたい場合
エギ王LIVEノーマルなど、多くのスタンダードモデルがこの速度帯に該当します。
釣り場やイカの活性が分からない時は、この沈下速度を起点に考えるのが失敗しにくい選び方になります。
遅い沈下(約5〜6秒/1m)
沈下が遅いエギは、水中でイカに長く見せることを目的とした設計です。
スレた個体や警戒心が強い状況で“食わせの間”を作りたいときに効果的です。
適した条件
- 水深が浅いエリア(1〜5m)
- 藻場やゴロタ場など根がかりしやすい場所
- 秋のサイトフィッシング
- イカの活性が低いときや、見切られやすい状況
見せ時間が長く、エギを漂わせるような展開に向いていますが、風や潮の影響を受けやすくレンジがズレやすいというデメリットもあります。
特に初心者は、「沈まない=使いにくい」と感じやすいため、無風・無潮の穏やかな日から使うのがおすすめです。
沈下速度は「3秒」を基準に状況で使い分ける
このように、「今、自分が釣りをしている環境にエギが合っているか?」を判断することで、釣果の安定感は大きく変わってきます。
迷ったときは、沈下速度3秒/1m前後のノーマルタイプを基準に選ぶのがもっとも失敗しにくい方法です。
その上で、風や潮が強ければ速め(2.5秒/1m以下)に、
浅場や見せたい場面では遅め(5〜6秒/1m)に切り替えていくと、現場での対応力も自然と上がります。
まずは「3秒」をひとつの軸として、状況に応じた使い分けを始めてみてください。
その小さな違いが、釣果に直結する大きな差になります。
3.5号は“サイズ”ではなく、“選び方の起点”
3.5号というのはエギの全長を示す数値であり、それだけを見て選ぶと失敗につながることがあります。
本当に大切なのは、その中にある「重さ」と「沈下スピード」です。
同じ3.5号でも、ノーマルは約20g、ディープは23g前後、ティップラン用となると30gを超えるものもあります。
この違いは水中での動きやアピール時間を大きく変え、結果として釣果にも影響してきます。
この記事では、次のような内容をお伝えしてきました。
- 同じ3.5号でも、モデルによって重さは大きく異なる
- 重さが変わることで沈下速度も変わり、使いどころが分かれてくる
- 選ぶべきタイプは、釣り場の水深や風の強さ、潮の速さなどによって変わる
- 春のエギングで大型を狙うなら、しっかり沈められるモデルが必要になる
では、どうやって選べばいいか?
迷ったときは、沈下速度が約3秒/1mで、重さが20g前後のノーマルタイプから始めてみてください。
そこを基準に、ゆっくり見せたいならシャロータイプを、深場や潮が速いときにはディープタイプやティップラン専用モデルを選ぶと、釣り場の状況にしっかり対応できます。
3.5号エギは、サイズの目安にすぎません。
選ぶときは「どんな重さか」「どれくらいのスピードで沈むか」を意識することが、より確実な釣果に繋がっていきます。
次に釣具屋でエギを手に取るときは、パッケージに書かれた“g数”と“沈下スピード”をぜひ確認してみてください。
その一歩が、エギングをもっと深く楽しむきっかけになります。