エギングといえば、シャクリでエギをダートさせてイカに抱かせるのが一般的です。
しかし、実は“ただ巻き”でもアオリイカを狙うことができます。
「ほんとに巻くだけで釣れるの?」
「シャクリを入れないなんてあり得るの?」
そう感じた方も多いかもしれません。
実際のところ、ただ巻きはシャクリとは違う“自然な誘い方”として成立しています。
特に秋の高活性期では、エギを水平に動かすだけで抱かせられることも珍しくありません。
一方で春は、フォールやシャクリと組み合わせることで大型狙いにも効果を発揮します。
この記事では、ただ巻きでイカが釣れる理由と、春と秋それぞれでの使い分け方を詳しく紹介しますので是非参考にしてください。
ただ巻きでも釣れる理由
エギングでイカが反応するのは、必ずしも激しいダートだけではありません。
ただ巻きでは、エギがゆっくりと水平移動することで、イカに“自然なベイトの動き”を見せることができます。
この動きが効果を発揮する理由はいくつかあります。
- シャクリに比べて波動や音が少なく、スレたイカにも違和感を与えにくい
- 一定のスピードでエギが動くため、イカが距離を詰めやすい
- テンションを保ちながら見せる時間を長く取れるため、抱かせの間を作りやすい
- フォール姿勢を崩さず、自然な姿勢を維持できる
とくに浅場や澄み潮のときは、イカがエギを視認している時間が長いため、この“ナチュラルな水平移動”が大きな武器になります。
一見地味に見えますが、ただ巻きは「静の誘い」でイカに口を使わせる実戦的な方法です。
秋に効くただ巻きの使い方
秋は新子(小型のアオリイカ)が多く、ただ巻きが最も効果的な時期です。
この時期のイカは活性が高く、シャクリのような急な動きよりも、スーッと自然に泳ぐエギに反応しやすい傾向があります。
ただ巻きの基本は、リール1回転に2〜3秒程度のスローな速度で巻くこと。
具体的には、1秒にハンドル半回転ほどのイメージで、エギが水平を保ち、ゆっくりと泳いでいるように見せることが大切です。
さらに、以下のような巻き方を意識すると抱かせのタイミングが生まれます。
- 2〜3回転ゆっくり巻く
- 1〜2秒止める
- ふたたび巻き始める
止めた瞬間、エギがふわっと沈み、追尾していたイカがそこで抱きついてくることが多くなります。
また、潮の流れによって巻き速度を調整することも重要です。
- 潮が速いとき:少し速めに巻いてテンションを保つ
- 潮が緩いとき:ゆっくりめで自然な動きを演出する
とくに浅場(3〜5m前後)や澄み潮の状況では、エギの視認性が高いため、こうした“ナチュラルな動き”がよく効きます。
秋のただ巻きは、テンポよく広く探るよりも、見せて抱かせるイメージで丁寧に操作することが釣果に繋がります。
春に効くただ巻きの使い方
春は、産卵を意識した大型のアオリイカが狙える季節です。
ただし秋のような活発さはなく、イカの動きはスロー気味。
そのため、春のただ巻きは**“見せて抱かせるフォロー動作”**として活用するのが効果的です。
基本の流れは次のとおりです。
- 2〜3回シャクってエギを浮かせ、イカに存在を気づかせる
- 3〜5秒ほどフォールさせて、底付近まで沈める
- そのあと、スローなただ巻きに切り替える
巻きスピードは、リール1回転に3〜4秒程度が目安。
潮の重みを感じながら、テンションを保ってエギがふわっと水平に進むように操作するのが理想です。
このとき意識したいのは、巻きとフォールの自然な連携。
- 巻きながら軽くテンションをかけることで、違和感のない動きになる
- 巻きとフォールを“繋げる”イメージを大切にする
もし追尾を感じたら、止めずに巻き続けて抱かせるのがコツです。
大型のイカほど慎重なため、止めた瞬間に見切られてしまうことがあります。
逃げるベイトを演出するつもりで、スッと巻き切る動きを入れると抱かせやすくなります。
春のただ巻きは「誘う」よりも「見せて食わせる」操作。
無理に動かそうとせず、じっくりスローに巻くことで、大型に口を使わせやすくなります。
ただ巻きが効く条件と向かないシーン
ただ巻きは、いつでも通用するわけではありません。
エギが水平姿勢を保てる環境でこそ、その効果を発揮します。
効く条件としては、次のような状況が挙げられます。
- 水深3〜5m程度の浅場で、底が見えるような澄み潮
- 潮が緩く、エギが安定して泳げる状況
- イカの活性が高い朝夕マズメや新月明け
- 風が弱く、ラインテンションを一定に保てるとき
これらの条件がそろっていると、エギが自然に水平移動し、イカに違和感を与えず抱かせやすくなります。
一方で、次のような場面ではただ巻きは不向きです。
- 潮が速く、エギが流されて姿勢を保てない
- 濁り潮や夜間で、エギの存在が見えにくい
- 活性が低く、アピールを強めないと反応しないとき
- 風が強く、ラインがたるんでテンションが抜けやすい
こうした状況では、シャクリやフォールを組み合わせて動きをつけたほうが効果的です。
ただ巻きは、イカに“見せて抱かせる”釣り方。
エギがきちんと見えている環境で使うことで、その真価を発揮します。
ただ巻きで使いやすいエギの特徴
ただ巻きは、エギを水平に移動させることを前提とした釣り方です。
そのため、どのエギでも同じように使えるわけではなく、姿勢が安定しやすいモデルを選ぶことが大切になります。
エギ選びのポイントは次の3つです。
1.沈下速度(フォールスピード)
- 1m沈むのに約4〜6秒ほどのスローフォールタイプがおすすめ
- 巻いている間もエギの姿勢が安定しやすく、水平移動を自然に見せられる
- 沈下が速すぎると頭が下がって、ただ巻き中に不自然な動きになることも
2.ボディ形状と安定性能
- 細身のシルエットや安定翼(パタパタフィン)付きのモデルは、水流を受けてもブレにくい
- 特に浅場や澄み潮では姿勢の安定感がそのまま釣果に直結する場面も多い
3.カラー選び(潮の状況に応じて)
- 秋や澄み潮:ナチュラル系(オレンジベース・アジカラー・クリア系)で違和感を抑える
- 春や濁り潮:夜光・金テープなど視認性の高い下地でアピールする
こうしたポイントを意識してエギを選ぶことで、ただ巻きでも安定した動きを引き出しやすくなり、自然に“抱かせの間”を作ることが可能になります。
ただ巻きにおすすめのエギを紹介!
実際に、ただ巻きに適したエギは限られており、選び方次第で釣果に差が出ます。
ここでは、姿勢の安定性やスローフォール性能に優れた、おすすめのエギを紹介します。
エギ王Kシャロー
エギ王Kシャローは、ただ巻きでも姿勢が安定するバランス設計が魅力のモデルです。
巻きのリズムに合わせて自然に泳ぎ、フォール以外の誘い方でもしっかりアピールできます。
潮が緩む時間帯や、イカが浮き気味の状況では、シャクリを抑えて一定速度で巻くだけでも反応を得やすい。
特に、春や秋の浅場では“見せて抱かせる”釣り方に向いています。
エギ王LIVE
エギ王LIVEは、ただ巻きでもダートでも活躍する万能タイプのエギです。
軽快なアクション性能に加えて、安定したフォール姿勢を備えているため、巻きでもシャクリでも自然な動きが出せます。
巻けば自然に泳ぎ、シャクれば鋭く跳ねる。
どちらの誘い方でもアオリイカを狙える“バランス型エギ”です。
エメラルダス ピーク Type S
エメラルダス ピーク Type Sは、「見せて抱かせる」ために設計されたスローシンキングモデルです。
シャロー域でも姿勢が崩れにくく、ただ巻きでもナチュラルに泳ぐ安定感が定評。
強いアクションを入れなくても、潮の流れを受けて自然に漂う動きがアオリイカに違和感を与えません。
潮が穏やかな朝夕の時間帯や、イカが浮き気味の日中では、シャクリよりも一定速度のただ巻きが効果的です。
特にスレ気味の個体に対しては、Type Sの“見せて抱かせる”アプローチが強く作用します。
通常のエメラルダス ピークと併用し、フォール中心の釣りと巻きの釣りを使い分けることで、より幅広い状況に対応できるエギです。
イージーQ キャスト 喰わせ スロー
イージーQ キャスト 喰わせ スローは、浅場や藻場を「見せて釣る」ために設計されたスローシンキングモデルです。
強いアクションを入れずに、一定速度でただ巻くだけでも自然な揺らぎを生み出せるのが最大の特長。
潮の流れに合わせてふわりと漂うように動き、スレたアオリイカにも違和感を与えません。
とくに活性が低い朝夕や、プレッシャーの高い港内では、強いダートよりも“見せて抱かせる”ただ巻きが効果的です。
キャストしてゆっくり巻くだけでエビのような自然な動きを演出できるため、初心者から上級者まで扱いやすいエギといえます。
セフィア クリンチ シャロー フラッシュブースト
セフィア クリンチ シャロー フラッシュブーストは、ただ巻きでもアオリイカを引き寄せられる“見せて釣る”タイプのエギ。
内部の反射板が揺らめくことで、止めている間も自然な光の動きを生み出し、イカの興味を途切れさせません。
さらにシャロータイプ特有のスロー沈下設計により、浅場のサイトやナイトゲームでも安定した誘いが可能です。
巻きでも止めでも、常に“動いて見える”のがこのエギの強みです。
アピールを抑えすぎず、ナチュラルに見せたいときに使いたい1本です。
ただ巻きはシンプルでも釣れる実践的なアプローチ
ただ巻きは、一見すると動きの少ない地味な釣り方に思われがちです。
しかし、イカに違和感を与えない“自然な水平移動”こそが、この釣り方の最大の強みです。
秋は新子が多く活性が高いため、ただ巻き単体でも成立します。
一方で春は、フォールやシャクリと組み合わせて使うことで大型を狙うことができます。
どちらの季節も、“見せて抱かせる”という考え方を意識することがポイントです。
また、エギの沈下速度や形状、カラーを意識して選ぶことで、より安定した誘いが可能になります。
シャクリでは反応がないときこそ、スーッと巻くだけのただ巻きを試してみてください。